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9話連続で更新しております。
最新話は「42:次世代」からとなります。

ご注意ください。
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44:夢世界2



ベルルの母親であるシャーロットさんの最後は、どのようなものだったのか。

僕はその事が気になって、夜、なかなか寝付く事が出来なかった。
隣で眠るベルルの頭を撫で、枕元においていた立方庭を手に取る。
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赤みを帯びた月明かりが、その薄緑色の結晶を照らす。

この立方庭には、シャーロットさんの何かしらの魔力、記憶が残っているようである。
僕はこれを通じて、彼女の姿や、記憶の一部を覗き見た。

ローク様と契約出来たのだって、この立方庭があったからだ。
僕は何度となく、シャーロットさんに力を借りてきたのだと思っている。

「あなたはいったい……どこにいるんですか」

答えが返ってくる訳が無いと分かっていても、問いかけずにはいられなかった。
生きているとは思わないが、処刑されたと言うなら、どこに埋葬されているのだろう。











暗い。
ゆらゆらと、ロウソクに灯る炎が揺れている。

僕は再び、夢を見ている様だ。



それは、既に旧魔王が討たれた後の事である。
ここは霊安室であった。

「……魔王様」

シャーロットさんが、亡くなったばかりであろう、旧魔王の頰に触れ、瞳に涙を溜めていた。
旧魔王の体は、もう顔の半分を星雲で覆われていたが、命の灯火が消えた事でその星の光は沈黙し、黒く荒い皮膚だけが見える。

だが彼は銀河病で死んだ訳ではない。リーズオリアから選抜された勇者に討伐されたのだ。
体には白い布がかけられていて、いったいどのように討たれたのか、見当もつかないが。

アリアリア様、ローク様、スカーさんという、大魔獣の中でも力を持つものたちが側に居て、旧魔王の死を静かに悼んでいる。

シャーロットさんは眠る幼いベルルを抱えていた。
ベルルは既に、泣きつかれてしまっている様だった。

「魔王らしい最後じゃった。銀河病となっても体を酷使し続け、魔界から人間界を守った。例え、人間たちに滅ぼされようがな。……それもまた魔王としての運命じゃ」

アリアリア様が袖で涙を拭った。歴代の魔王たちの最後を思い出しているように。
皆、表情は暗い。

「……さあ、新しい魔王は、“旧魔王”様の予定通りです。その儀式が今より始まります。魔獣たちも魔王様の指示通り、それぞれの契約に従います。王妃様はこちらへ……あなたは処刑された事となりますが、身を隠して生きる場所は用意されております」

スカーさんが淡々とした口調で、シャーロットさんを霊安室から退室する様促したが、彼女は首を振った。
腕の中のベルルを、狂おしそうに抱く。

「明日にでもベルルロットと引き離されるのです。魔王様を失った私に、もはや、生きる意志はありません。罪を犯した魔王の妻として、処分を受けます」

「まさか! そんなこと、魔王は望んでいない。王妃、ここはお辛くとも、生きて頂かなければ」

「……」

ローク様の厳しい言葉に、シャーロットさんはハッとして、瞳を揺らした。
ただ彼女はあまりに辛そうで、気力も無く、今にも折れてしまいそうな程弱々しく見える。

旧魔王と共に処刑された方が、よほどこの人にとって幸せなんじゃないかと思うくらい。

「しばらくお会いする事が出来ませんが、12年もすれば、ベルルロット様はリーズオリア王国の取り決めにより彼の国の者と結婚し、国籍を得て自由になります。そうすれば、王妃様と会える日もやってきましょう」

「そうじゃ王妃様。希望はある」

大魔獣たちが揃って、彼女に言葉をかける。
しかしシャーロットさんの悲壮な瞳の色に、変化をもたらす事は無かった。






一度真っ白な光に包まれ、場面が飛んだ。





幼いベルルがぐったりとして、泣いている。
時間帯は夜で、彼女は就寝中であった。

「ベルル、ベルルっ!!」

隣で眠っていたシャーロットさんがベルルの異変に気がつき、灯を付けたあと、彼女を抱きかかえた。
ベルルの息は荒く、発熱している様で、頰は赤い。

「おかあさま、痛いよう……おとうさまぁ」

弱々しいベルルの声を聞き取り、シャーロットさんはハッとした。
ベルルの胸元の着物をめくると、そこには、黒く蠢く小さな痣が一つあったのだ。

僕はそれを良く知っている。銀河病だ。

「そんな……ベルルまで……っ」

シャーロットさんは震える腕で、彼女を抱き締めた。

これは僕の知らない真実である。きっと立方庭に宿る記憶が、僕に見せてくれる、過去の残像だ。

何て事だ。ベルルは幼い頃、一度銀河病を発病していたのだ。
まだ初期の段階であるが、これはいずれ、死をもたらす病となる。

「ああ……魔王様、魔王様……っ」

シャーロットさんはベルルを抱えて旧魔王の名を呼ぶが、すでに旧魔王はこの世に居ない。
おそらくこの日は、二人が一緒に居られる最後の夜である。

「どうかしたか、王妃」

シャーロットさんの声を聞きつけたのか、ローク様がすぐに現れた。
彼女はベルルの容態を知り、瞳を見開く。

「ああ……なぜ今まで気がつかなかったの」

悲痛な涙声を上げるシャーロットさんにローク様は低い声で答える。

「……幼子は銀河病に冒されやすく、また発病と侵攻が早い。おそらく魔王交代のせいで、一時的にゲートの開閉が不安定となり、東の最果てに魔界の穢れが漏れ出ているのだ。……ベルル様の魔力を食って、たった一日で発病に至ったか」

爪を噛んで、ローク様はこの部屋を出て行こうとした。

「王妃、ベルルさまを見ていてくれ。まだ初期の段階だ、何とかなるかもしれない。きっとアリアリア様なら、何か手を……っ、いや、ディカならあるいは……」

ローク様自身、まるで自らに言い聞かせている様。
しかし彼女自身が一番分かっている様に、銀河病の治療法は、この時一つとして無い。

幼いベルルの息は荒く、体中が痛むのか、悲鳴に近い泣き声を上げていた。
僕はそれを聞きたくなくて、耳を塞ぎそうになったが、それすらできない。

今の僕だったら、ベルルを助ける事が出来るのに……!

ローク様は、泣くベルルを抱え、身を小さくするシャーロットさんを気にしつつも、時間が惜しいと部屋を出て行った。


「……一つだけ、方法はあるわ」

扉が閉まる音の後、シャーロットさんが、ポツリと呟く。

「可愛い、小さなベルル」

彼女はベルルを横にして、その額に口付けた。

「おかあさま……いたいよう……」

「……大丈夫よ、今にきっと、助けてあげるわ」

「おとうさま、おとうさまああ」

ベルルは泣き止まない。
涙を流すのは、病の苦しみからか、父を失った悲しみからか、幼いながらに感じ取っている今後の不安からか。

「おかあさま、ベルルといっしょにいてくれる? おとうさまみたいに、どっかいっちゃったりしない?」

「……ベルル、お母様と一緒に居たい?」

「ベルルおかあさまとずっといっしょがいい……っ」

ベルルはどうやら、悟っている様だ。
これから母と引き離されてしまう事を。

病の痛みより、ずっとそちらの方が恐ろしいのか、彼女は母の着物の袖を握って、決して離そうとしなかった。

「……大丈夫。お母様はベルルとずっと一緒よ。お父様だって。……それに、あなたはいつかきっと、この世で一番大事な人を見つけるわ。お母様の様に」

シャーロットさんはベルルの手を取って、ぎゅっと握った。

「ほんとう?」

「ええ。約束よ」

そしてベルルの小指に自分の指を絡め「指きりげんまん…」と、約束を交わした。

僕はハッと、自分の小指を見た。僕とベルルも「ずっと一緒」と言って、小指を絡め指きりをした事がある。2年前の年末の夜だ。僕が、初めてベルルを愛していると言った日。
ベルルはシャーロットさんと同じ約束をした事を、心のどこかで覚えていたんだ……

シャーロットさんはそのまま、幼いベルルの手のひらに魔法式を描く。

あれは、リースオリア王国の、催眠の魔法だ。夜の女神の魔法式。
ベルルは力を抜く様にフッと目を閉じ、そのまま眠ってしまう。

僕が良くベルルに入れてあげる、睡眠効果のある薬茶も、この魔法式を利用して作られている。

ただ、杖も無いのに難なくベルルを眠らせたシャーロットさんは、やはりとても大きな魔力を持った魔術師だったのだろう。

彼女はベルルが寝付いたのを確認すると、胸元からあるものを取り出した。
あれは、立方庭(キュービック・ガーデン)だ。今は僕の手元にある、あの。

それを側の机の上に置いて、彼女は引き出しから文を取り出し、何かを書き始めた。

僕は悟った。あれは、あの文は、以前テール博士が僕に委ねたものだ。
シャーロットさんの、文を書く手は迷い無かった。

そして、全てを用意してしまって、再び立方庭を手に取って見つめる。

「……魔王様……魔王様に頂いたこの石が、私たち家族の絆です。私は妖精に願いを叶えてもらい、そのかわりに妖精の花園へこの身を捧げます。……魔王様、あなたと共に、西の果ての世界へ参るのです。だって、東の最果ては、西の最果てでもあると、おっしゃったでは無いですか……リーオン様」

ただ静かに、彼女は一筋の涙を流した。

「庭の扉を開く“鍵”は、あの子に預けてあるもの。いつか家族が、ベルルとあの子が出会う時があれば……きっと……」

彼女はその立方庭を、額に押し当てた。
その時のまばゆい光が、僕の視界を遮る。

シャーロットさん……!

僕は音の無い声を振り絞って、彼女を呼んだ。
ふっと一度だけ、彼女と目が合った気がしたけれど、世界は真っ白な光に包まれてしまい、真っ逆さまに落ちて行く感覚だけが僕を襲った。

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凱旋

「キャー! スローターサマー!!」
「ありがと――ッ!!」
「ベジーサマー!」
「こっち向いて――!!」
 通りの左右からひっきりなしに浴びせられる歓声にベジーは眉を顰めた。

「……五月蝿いな」
「しかし、これも必要なことだ。悪党より英雄として認知されたほうが、何かとやりやすい」
 そのあんまりな物言いにタクムはヘルメットの裏で苦笑を浮かべる。

「むぅ……それはそうなのだが……」
 二人は鹵獲したT‐64の砲塔に座っていた。小さく手を振りながら会話を続けていた。

 いわゆる凱旋パレードである。

 ソフィスト軍を代表する新型主力戦車を文字通り、尻に敷いている光景――僅か総員20名という寡兵でもって二個戦車小隊並びに歩兵中隊を全滅せしめたというセンセーショナルなニューチャンルー
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スは屈辱に塗れたスター都市国家群の市民の鬱憤を晴らすのにうってつけであった。

 最悪の犯罪者から一転、タクムは英雄扱いである。そもそもタクムは犯罪者や手を出してきた相手以外を殺したことはない。<スローター事件>では自分を落としいれようとしてきた相手を治療し、<断罪TV事件>では主犯格である<越後屋>ライムの命乞いを受け入れた。

 高名な<肉屋>アインビーキーや<走り屋>タークを始末しただけでなく、史上最強の暗殺者と謳われる<八百屋>ベジーを倒したばかりか、更生せしめた功績はもっと正しく評価されるべきだという旨の記事が新聞各誌に掲載されたからである。

 手を出さなければ危険はない。軍籍についたことで今後はガンマ奪還の大きな力となってくれる。そんな認識が広まったことで<スローター>を忌避する風潮は消え、恐怖は畏敬へと変貌を遂げた。かつて悪党としてガンマの街のみならず、スター都市国家群全域を震え上がらせたスローターは追撃部隊殲滅の功が伝えられるやいなや都市国家群期待の星となったのである。

 一見すると誤った評価が正されたように見えるが、ここまで人気が沸騰することは有り得ない。当然、これには裏で糸を引いていた者がいる。

 ライムである。

 彼女はアイドル時代――未だに彼女は現役だと言い張るが――に培った伝手を使い、新聞社や週刊誌の編集部に裏金をばら撒いたのだ。歌いながら狩りをするPVを作ってみたり、暗殺者ギルドの四強入りしてみたりと元々、話題作りは得意中の得意である。彼女の手に掛かれば文化的に未熟な大衆を操るなど造作もないことである。ついでにライムが干される原因となった<断罪TV>の真相も一部で記述されており、ライムはテレビ局の圧力に負けて無理矢理、やらされていたという報道も一部為されていた。

 ともあれ今やタクムは時の人である。タクムはヘルメットを外し、素顔を晒すと声援はもはや悲鳴に近いものとなる。

「……これだから大衆は嫌いだ……タクムの表面しか見ていないことが良く分かる……いや、私も理解し切れているとは言うわけではないが」
 ベジーは不満げに言う。彼とて、仕えるべき主人が正当な評価を受けられないことには常々不満に思っていた。しかし、こうもあっさりと手のひら返しをされてしまうと素直に喜べないものがあった。

 デビュー当時からの見守ってきた生粋のアイドルファンが、ちょっとテレビで取り上げられたぐらいでファンクラブに加入し始めるにわか連中を嫌うのと同じ心理であろうか。俺はもっと前から彼の良さを知っていたんだぞ! と、声高に叫びたい気持ちなのである。

「一々騒ぐなよ。どうせ一過性のものだ。あんな連中、いつ裏切るか分かったもんじゃない。俺が今のところ信頼しているのはワンダーとドリーム、それからお前ぐらいなもんだぞ」
 ベジーは主人から不意打ち気味に放たれた一言にしばし呆然とした。ゆっくりと目を閉じて俯き、その意味を噛み締め――プルプルと肩を震え出す。

「――――タクム……私も……私も、タクムをッ――」
「ららら~♪ るるる~♪」
 全長五〇〇メートルの大通り、その中ほどにある広間まで来ると突如、聞き慣れた歌声が聞こえてきた。

「れれれ~♪ おろろ~♪」
 某人気アイドルのナンバーをパク――もとい、リメイクしてローカライズしたアイドルソング<シックスチェック>――ちなみにタイトルは死角に注意を意味する軍事用語チェックシックスをもじっているらしい――こんな歌を歌うのはこの世界にただ一人しかいない。

「アイツ、何やってんだ……」
「…………リサイタルのようだが?」
「いや、ライブでもリサイタルでも何でもいいけど、なんで街のど真ん中で歌ってるんだ」
 ゲリラライブは結構な盛り上がりを見せており、広間には結構な人だかりが出来ている。戦車が通行するにはかなり邪魔であった。

「次が来るまでしーっくーすちぇーっく――ッ!」
『ワァァァァァァ――ッ!!』
 歌い終わると同時、巨大な歓声が広間を包んだ。恐らくは凱旋パレードを見に来た連中が、ライムのゲリラライブに集まってきたのだろう。
「分からない。直接聞いてみるのはどうだ?」
「いや、関わりたくない」
 言い捨てて戦車のハッチを開く。完全に出番を持っていかれた形だが、街に付いたら出来るだけ目立つよう指示を出したのは他ならぬタクムである。

 タクム達に今足りないものは人員である。戦車部隊と護衛部隊という優秀な手駒を手に入れたはいいものの、これだけの数の兵士を運用するには手間と労力が掛かる。戦車や銃器の整備はもちろんのこと、糧食の手配、寝床の確保、戦闘休憩のローテーションを考えなければ最高のパフォーマンスは発揮されない。

 どこかに綻びがあればとたんに兵士は消耗する。いざとなれば兵士の出し惜しみをするタクムではないが、準備不足で手駒が失われるのは我慢がならない。

 今は裏方の存在が必要不可欠であった。整備士、事務官、衛生兵に糧食班、これらの技能を保持する者を手に入れるには広報活動が必要となってくる。

 要するに適材適所である。人前に立つような広報活動はライムに一任したほうがいい。彼女とて<鉄屑兵団>の一因――もとい、一員である。タクムとて自己顕示欲は人並みにあるが、華やかな舞台は性に合わないことくらい分かっている。そもそも表舞台に狂人はいるべき場所ではない。そのくらいの分別はある。

 タクムの舞台は戦場だ。血と硝煙が支配する世界で何も考えずに人を殺せばいいだけだ。後はマスコミ連中が勝手に成果を拾って広めてくれる。

 タクムはそう考えて身を隠そうとした。

「あーッ! やっと来た!? おーい! べーにゃん、すろーにゃん! って、何を逃げようとしておるかーッ!!」
 しかし、そんな気遣いを台無しにされる。他ならぬ味方(ライム)によって。まるで背後から銃撃を受けたようだ。T-64を指差しながら騒ぐライム。一斉に振り返る人、ヒト、ひと。1000にも届こうかという視線に晒され、二人は頭を抱える。

『ウワァァァァァ――ッ!!』
 ライブの興奮覚めやらぬまま、歓声を上げる聴衆達。一昔前までこの後に「逃げろー!」と付いていたはずだが、観客達はむしろ近寄ってくる。

「あれが、スローターサマ!?」
「初めて見た! グラサンがカッコイイ」
「ベジーさんもいるぞ!!」
「オヒゲがダンディ!」
「……うざったい」
 ぽつりとこぼしたベジーの呟きに激しく同意するタクム。彼は少しライムを見直した。毎日のようにこんな好奇な視線に晒されるなど彼には耐えられそうにない。

 ――やっぱり、俺には無理だッ!

 戦車は既に取り囲まれ、身動きが取れない。過剰なストレス。このまま轢いてしまっても問題ないかと考えかけ――あるに決まっていた――タクムはすんでのところで戦車部隊への指示を思い留まる。危ないところであった。折角のメディア戦略が台無しになるところであった。

「ヘイ、カァモンッ、ボーウィズ!」
 マイクを片手にやたらと流暢な英語で登壇を促してくる腐れアイドル。タクムは彼女の評価をすぐに戻した。そもそもの原因はあいつである。

 人々が押し合いへし合い、戦車から広間の中央にあるお立ち台までの道が開かれる。タクムとベジーは肩やら腰やらをベシベシと叩かれながら登壇。殺気の篭った目でライムを睨みつける。

「ほら、好感度好感度(スマイルスマイル)。人前でしょ」
「何で俺が……」
「あれ~、すろーにゃんは人気欲しいんじゃにゃかったのかにゃ?」
 ライムは小さく顔を動かす。その先を見ればどうやらテレビの取材が来ているようだった。恐らくはパレードから惹きつけられた形であろう。

「仕方ない……ベジー、やるぞ」
「承知!」
 ニタァといういつもの笑みを浮かべると、ライムが顔を引きつらせる。ベジーはベジーで表情筋を使い慣れていないのか頬が痙攣、顔中がビクンビクンと跳ね回っている。

「…………やっぱりいいわ、普通にしてて」
 とてもじゃないが見せられたものではない。ライムはそう言ってため息をついた。

「くそ、どうしろってんだ」
「私のはともかくタクムのは迫力があっていいと思うぞ……?」
「はぁ? 芸能なめんなよ! 観客びびらせてどうすんの! とにかくあんた等じゃ使い物になんないわ、大人しくあたしの言葉に頷いてて」
 ライムはその場で反転し、観衆のほうに向き直る。険しい表情から一転、その顔にはにぱぁっというなんとも愛らしい笑顔が浮かんでおり、今が愛しくて切なくて心は格子柄のようである。

「みんにゃー! 今日はにゃーのライブに来てくれてありがとー!」
「元々はパレードを……」
「ああ”っ!?」
 振り返ったライムに睨みつけられ、二人は押し黙る。顔半分、タクム達にしか見えない左側だけがまるで般若のような顔になっていた。再び、朗らかな笑みを浮かべて観客側に向き直る。まるで手品のような変わり身にタクムとベジーは戦々恐々とした。女って怖い。

「今日は、にゃーも所属する<鉄屑兵団>から重大なお知らせがありますにゃん! みんな、聞きたいかなー!?」
『ワァァァァァ――ッ!!』
「じゃあ、教えてあげる☆ この度、<鉄屑兵団>はガンマ奪還に向けて正式に動き出すことにしましたにゃん。でも、にゃー達はたったの三人しかいません。戦局を動かすには少しだけ力が足りません。だから、みんなも一緒に戦って欲しいにゃ~って、そう思ってるにゃん。みんにゃー、手を貸してくれるかにゃ~☆」
『ガンホ、ガンホ、ガンホ――ッ!!』
「ありがとうにゃん。腕に覚えのある方はもちろん、整備士、通信兵、事務官などの後方支援の人たちも大々、大歓迎にゃよ! 他にも同盟を組んでくれるパーティが居たら名乗り出て欲しいにゃん☆ 募集要項はギルドの掲示板を確認してほしいにゃん……それではさらばい!」
 ライムはタクムとベジーの手を握り、さっそうと駆け出す。戦車の上に飛び乗ると、その場で大きく手を振り始めた。パレード再開である。

「ライム……たぶん、パンツが丸見えだぞ……」
「大丈夫にゃん。見せパンだから。これも好感度(サービス)のためにゃん」
 ベジーの問いに嫌らしい笑みで答えるライム。

「本音、駄々漏れだな……」
 タクムは疲れた風に言って、今度こそ戦車の中に潜り込むのだった。


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替え歌ダメらしいので修正しました。

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第4話 勅使と盗賊(前編)



 1

 薬師の老婆と別れ、再び一人になった。
 時刻は夕方に近い。
 目の前に見える村に入った。

 村のそばに川がある。
 水の豊かな川だ。
 この川は、大障壁がある山地のほうから流れてきているのではない。
 そうであれば、東から西へ向かって水は流れる。
 この川は、北から南に向かって流れている。
 大河オーヴァの支流なのだ。

 ということは、泳いでいる魚も、今までとはずいぶん違うはずだ。
 オーヴァの魚は、とても種類が多く、うまい。

  楽しみなことだの。
  のう、スタボロス。

 と、荷を背負う老馬に話しかけたが、むろん返事はない。 
 名前だけは知っている村だった。
 もっと小さな村だと思っていたが、意外と大勢の人が住んでおり、|共同食堂宿《ガンツ》まであった。
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ぎわっていた。
 馬つなぎにスタボロスをつなぎ、宿の中に入って、泊まれるかのう、と聞いた。

「おう、いいともさ。
 ちょうど一部屋|空《あ》いてるよ。
 それにしても、あんた、運がいいね。
 こんな日に、ここに泊まるなんて」

 ずいぶん上機嫌で|女将《おかみ》が言うので、運がいいというのは何のことかの、と尋ねた。

「あら、知らなかったのかい。
 王様が戴冠なさったんだよ!
 そりゃまあ、立派な王様でね。
 こんな田舎の村にまでお使いを寄越されてね。
 今日ここに来た人には、一人一杯、酒がふるまわれるのさ。
 ウェンデルラント王陛下のおごりでね!
 さ、あんたも一杯やっとくれ」

 つがれたのは、水で薄めた蜂蜜酒だった。
 あまりよい味ではなかったが、もらい物に文句を言うわけにはいかない。
 その一杯を飲み干すまでに三度、ウェンデルラント新王に乾杯した。
 そして、自分の払いで蒸留酒を注文してから、ウェンデルラント王のことを聞いた。
 女将は、あちらこちらと忙しく立ち働きながら、バルドに事の次第を説明した。

 オーヴァ川の向こうに、パルザム王国がある。
 パルザム王国は、ほかの大国と戦争していたが、去年、勝った。
 戦争は大激戦で、王太子ほか、何人もの王子が死んだが、最後の最後で、ウェンデルラント王子が軍を指揮して勝利した。
 ウェンデルラント王子は凱旋して英雄となったが、高齢で病床にあった王が、安心のためか死んでしまった。

 次の王を誰にするか、もめにもめた。
 ウェンデルラント王子は、王太子より年上で、人望もあり、功績も抜群だったが、母親の身分が低いため、王位継承の可能性があると思われていなかった。
 しかし、今や王子は救国の英雄で、軍部の支持も高い。
 結局、ウェンデルラントが王位に就くことが決まり、戦勝と前王の死から一年して、戴冠式が行われた。
 王は、戦勝と戴冠の喜びを広く伝えたいと考え、勅使を各地に派遣し、祝い金を下賜しつつ新たな統治方針を説いて回っている。

 女将が説明したのは、そのようなことだった。
 こんな田舎の村にいながら、恐るべき情報収集である。
 パルザム王国が戦争に勝ったこと、その立役者のウェンデルラント王子が王位を継ぐことなどは、バルドも聞き知っていたが、この女将の情報は、それより詳しいものだった。

 バルドは、あきれた。

 辺境はあまりに広く、パルザムからは遠すぎ、村や街はあまりにまばらである。
 徴税するにも、兵を遣わすにも、法を|布《し》くにも、ひどく不便で、割が合わない。
 今まで、パルザムのみならず、いくつもの国が、この大陸東部辺境の一部について、領有を宣言したことがある。
 しかし、実効的な統治をした国はない。
 大河オーヴァが、それを拒んでいる。

 いくらか現実的なのは、有力な領主を代理者に任命して、間接統治を行うことであるが、それはパルザムのみならず、いくつかの国がすでに行っている。
 行っているが、機能はしていない。
 大国が把握も制御もできないままに、現地では次々と勢力図が書き換えられていく。
 魔獣の襲撃や自然災害で村や街が全滅することも、珍しくはない。

 結局、今まで大陸中央の国々と辺境をつないでいたのは、わずかな人の行き来と商業交流だけだ。
 オーヴァ川の西にはいくつかの国があるが、唯一パルザム王国だけが、川のほとりに交易村を設けている。
 こちらから川を渡って行きさえすれば、交易もできる。
 交易村から馬車に乗れば、パルザム本国に行くこともできる。
 学問をしたり、都会で一旗揚げたい人間は、パルザムを目指す。
 大陸東部辺境では、パルザム王国の名は、少しばかりの親近感とあこがれを持って語られるのだ。

  こんな所でワインをまき散らしても、王の名前など三日後には忘れられているだろうにのう。
  奇特なことだわい。

 などと考えながら食事をつまんでいると、酒場のざわめきが急に静まった。
 立派な装いの騎士が入って来たためだ。
 騎士は、張りのある若い声で問い掛けた。

「皆、くつろいでおるところを申し訳ない!
 |薬師《くすし》か、病気に詳しい者はおらぬか。
 特別辺境勅使バリ・トード司祭様が急病なのだ。
 手足が急に冷え、激しい頭痛を訴えられ、今、高熱で意識がない。
 助けられる者はいないか」

 こんな田舎に薬師などいるわけもない。
 リンツに戻れば薬師がいるが、今現在危篤であるらしい司祭を助けられる者はいない。
 〈河の向こう〉から来た騎士などに関わりたいとは誰も思わないのだ。

 バルドは、立ち上がって、詳しい症状をお聞きしたい、と申し出た。
 そなたは薬師かとの騎士の問いに、薬師ではないが、もし自分が思っている病であれば、ただちに手を打たねばならない、と答えた。

 バルドは、すぐに村長の家に連れていかれた。
 村長自身は不在である。
 勅使の到着を次の村に伝えて宿舎などを手配するために出ている。
 村長の妻は娘の出産のため嫁ぎ先にいて、これも不在。
 家には食事などの世話をする少女が二人いるばかりで、司祭の急病に対処できない。
 村人の中に薬の知識を持った者もあるかもしれないと、わらにもすがる思いで酒場に行ってみたのだ、と若い騎士から説明された。

 特別勅使であるという司祭のそばに、年配の騎士がついていた。
 若い騎士が簡潔に説明し、年配の騎士は、よろしく頼む、とバルドに頭を下げた。

 司祭の様子をよくみたところ、ゲリアドラによる症状ではなかった。
 この地域ではよく知られた〈一夜熱〉と呼ばれる病気だった。
 薬師の老婆は、蚊がこの病のもとを運ぶのだという、不思議な持論を教えてくれた。
 突然高い熱が出るので驚くが、たいていは|放《ほお》っておいても二、三日で治る。
 ただ熱が高すぎると意識不明に陥り命を落としたり、体の一部が動かなくなったりすることもある。

 バルドは、本職の薬師ではないが、わしの診立てではこうである、と説明した。
 そのうえで、熱冷ましの薬草があるので、よければそれを処方できること、また、部屋を温かくして水分をじゅうぶんに摂らせることが大切である、と述べた。
 年配の騎士が、よろしく頼む、と再び言い、バルドは、薬草をつぶし、煎じて、吸い口で病人に与えた。

 幸い、病人は、薬も水も飲んでくれた。
 火鉢と水の入った鍋が持ち込まれ、寝室は熱気で暑くなった。
 バルドは、汗をかきながら、病人の面倒をみた。
 若い騎士が、意外な手際よさをみせて手伝った。
 二人の従者もよく働いた。
 年配の騎士は、部屋から出ることなく、ずっと司祭を見守った。
 暑い部屋の中で、服装と姿勢を崩さずに。

 真夜中すぎ、いやな匂いのする汗を大量にかいたあと、容体が落ち着き、安らかな寝息を立てるようになった。
 年配の騎士は、一同にねぎらいの声を掛け、交替で休みを取るようにと指示した。
 夜明けごろには熱も下がり、病の兆候はことごとく消えた。
 もう大丈夫でござろう、とバルドが言うと、年配の騎士はわざわざ椅子から立ち上がって、バルドに一礼した。

「まことにかたじけない。
 貴殿には感謝の言葉もない。
 そういえば、まだお名前をお聞きしていなかった」

 名を名乗ると、年配の騎士は、

「もしや、〈|人民の騎士《ガルデガーシ・グエラ》〉殿か」

 と言い、謹厳そのものの顔を少し|緩《ゆる》めた。





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4月22日「勅使と盗賊(後編)」に続く

10.26_223
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家族では。ですが」
「それでもなんだ」
「一人暮らしは寂しいですよ」
 真人は顔をあげた。そのうえでだ。
 希望のまだ俯いている顔を見てだ。そうして言ったのである。第八話 友情もその十二

 真人は微笑んでだ。希望にこうも言ったのだった。
「また。少ししたら」
「二学期の予習をしてだね」
「はい、勉強も出来る様になって」
「そうしてでだね」
「もっと幸せになりましょう」
「幸せになれることは色々なんだ」
「そうです。勉強が出来れば嬉しくなりますから」
 嬉しさ、それもだった。
「ですから今はです」
「勉強しようね」
「はい。ただ遠井君は」
「僕は?」
「かなりわかるようになってますね」
 勉強がだ。そうなってきているというのだ。
「前とは全く別人みたいですよ」
「えっ、そうかな」
「そうです。学力があがってますね」
「だったらいいけれどね」
「とてもバーバリー レディース
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いいと思います。ご自身でも予習をされてるんですか」
 真人がこう問うとだ。希望はだ。
 少し微笑んでからだ。彼にこの言葉で答えたのだった。
「復習もしてるよ」
「それもですか」
「しかもね。中学校の頃から少し」
「そこからですか」
「うん、一年の頃からね」
「それで予習もですか」
「両方しているんだ」
 それをだ。毎日しているというのだ。
「それでいいよね」
「とてもいいと思います。そうですか、本当に勉強されているんですね」
「そんな気持ちなんだ」
 勉強しておきたい、そう考えているというのだ。
「だからね。このま

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どうやら、この店でコーヒーを出していることは知らなかったようだ。
それに、話題を変えたいと思う気持もあったのかもしれない。

「今言った2年前の改装の時からよ。」
「そ、そうなんだぁ~???、でも、ママって、コーヒーなんか飲まなかったんじゃない?
「うん、それは今でもよ。そんな苦いもの、よく飲むわねぇって思っちゃう???。」
「えっ! そ、そうなんですか?」
そう口を挟んだのは源次郎だった。もちろん、思わずのことである。

「あらっ! う、嬉しいじゃない? お兄さんが口を利いてくれたわ???。」
ママが大袈裟に喜びを表してくる。

「ええっっっ! だ、だって???、ご自分では飲まれないコーヒーなんでしょう?」
源次郎は、常識的なことを言っているつもりなのだ。
飲食店では当然に味見をするだろう。
自分が口にしないものをメニューにするなんて???と思うのだ。

「飲まなくっても、コーヒーぐらいは入れられるわよ。」
ママは事も無げに言う。そして、言葉を続けてくる。

「男と一緒よ。抱かれなくってもその男の美味しさは分かるものなんだし???。」
「えっっハワイ ugg
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っっ! ??????。」
喉が詰まりそうになる源次郎である。


(つづく)



第2話 夢は屯(たむろ)する (その1154)

「ママったら???。相変わらずねぇ???。
で、でも、この人、優しいんだから、そんなに苛めないで???。
ほら、目が点になっちゃってる???。」
美由紀が源次郎を庇うように言う。
そして、これ見よがしに、カウンターの上にあった源次郎の手に自分の手を重ねてくる。

「あららら???、怒られちゃった???。“ごめんなさいね。”
で、でも???、いくら私

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そして、源次郎が鍵を掛ける。

「うふっ!」
どうしてか、美由紀がそう言って嬉しそうに笑った。

「ん?」
「??????。」
源次郎がその理由を問うたが、美由紀はただ首を横に小さく振っただけだった。
答えるつもりはないらしい。

「鍵は源ちゃんが預かってて???。」
代わりに、それだけを言ってくる。


(つづく)



第2話 夢は屯(たむろ)する (その1030)

「あ、はい???。」
源次郎はそう答楽天 バック
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える他は無い。
で、部屋番号を記した札が付いた鍵を、少し迷った挙句に上着の右ポケットに入れる。
その鍵の分だけ、右側に重心が傾いたように思える。


相変わらず、美由紀は源次郎の左手を握っている。
廊下に出てからも、それを離そうとはしない。

「大丈夫なんです?」
源次郎が気を遣った。
小樽のホテルでは、決してそうすることは無かったからだ。
つまりは、部屋を出た時点から、美由紀は「佐崎美由紀」として行動していた。
それだけ、周囲からの視線を意識していたということなのだろう。

それなのにだ。
今朝は、公共のスペースだと言われるホテルの廊下に出てからも、美由紀はそうする気配が無い。

確かに、ここは小樽ではない。札幌だ。
それでも、だからと言って、美由紀の顔が知られていない土地だとは断言できない筈。
いや、それどころか、北海道一の大都市の、しかもビジネスホテルである。
東京で活躍する佐崎美由紀の顔を知っている人間と出会う確率は、小樽のホテル以上にあるのではないか。
そうした思いが源次郎にはあった。
だからこそ、そう問うたのだ。

「ん? な、何が?」
美由紀は惚けたように聞き返してくる。

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第十三話 衝突その八

「それでじゃ。たまたまこの娘に出会ってのう」
「たまたまか」
「妖怪について研究していると妖怪達が寄ってきてのう」
「研究していると寄って来るものなのか」
 博士の今の話にまた怪訝な顔になった。
「妖怪というものは」
「僕達を好きな人にね」
「集まるんだよ」
 彼等は笑顔で牧村に話をしてきた。
「それが妖怪だからね」
「だからだよ」
「それでなのか」
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 とりあえず彼等の話を聞いて納得はした。
「それで博士のところにか」
「それででした」
 ろく子がまた彼に話す。
「博士に御会いしまして」
「それで秘書になり、か」
「はい。人間の世界の料理にやっと興味を持ちはじめまして」
 やっと、と自分で言うのだった。
「それで今です」
「思えば長い時間だったな」
「そうですね。けれど作りはじめて五十年」
 一言で済むがその歳月もかなりのものだ。
「それで今に至ります」
「今のコーヒーは五十年の年季があるのか」
「こちらはそれ程ではないです」
 こう牧村に話してきた。
「実は。この二年か三年ですね」
「案外短いのだな」
「コーヒーよりお茶に凝っていました」
「実は」
「お茶か」
「お茶は昔から好きでした」
 また笑顔で答えるろく子だった。
「それでそっちは前から」エルメス バッグ 種類
「お茶もいい」
 牧村はそちらもいいというのだった。
「飲んでいると落ち着く」
「そうですよね。味もいいし」
 ろく子の顔はさらににこにことしたものになっていた。
「ですから好きなのですよ」
「ああ。今度はそれも飲ませてもらう」
 牧村はにこりとはしていなかったが言葉は機嫌のよさを感じさせるものだった。
「お茶もな」
「どんなお茶がいいですか?」
「緑茶か」
 彼がここで欲したのはそれであった。
「それをもらう。今度な」
「いいですね。私緑茶には特に凝っていまして」
「そちらにか」
「はい。といってもこの研究室で茶道はちょっとできませんけれど」
「そうなの?」
「初耳だよ」
 彼女の今の言葉に他の妖怪達が驚きの声をあげる。見ればひょうすべや一本だたらといった面々が床に敷き物を敷いてそこで茶道を行っていた。
「僕達普通にやってるよね」
「ねえ」
 彼等は顔を見合わせて言い合う。
「お茶は何処でも飲めるし」
「太閤様なんか物凄い振舞ってくれたよね」
「太閤様・・・・・・あれか」
 牧村でなくともこの官職だけでわかった。
「豊臣秀吉か」
「あの人凄い気前よかったからね」
「権現さんはけちだったけれどね」
 今度は家康のことが話に出て来た。
「それでもいい政治してくれたから助かったけれどね」
「僕達もね」
「茶道だけでなくその時から人間の世界に入っていたのか」
 牧村はあらためてそのことを感じたのだった。

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第二十話 信行謀叛その十一

「全く。爺に言葉を取られてしまったわ」
「これは失礼しました」
「しかしよい」
 だがそれについてはだ。一切咎めないのであった。そうしてまた言う信長であった。
「全軍に伝えよ。水を飲めとな」
「はい、そして」
「水を飲んだ後は」
「大急ぎで清洲に戻す。よいな」
 こう告げたのであった。
「道を走ってよ」
「駆けますか」
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「まさに」
「そうよ。とにかく急ぐぞ」
 強調していた。その急ぐことをだ。
「よいな」
「それでは。水を飲みすぐに」
「一気に参りましょう」
 こうしてであった。信長は清洲に向かおうとする。しかしである。 
 木下が出て来てだ。こう言ってきたのである。
「殿、水はそれでいいのですが」
「むっ、猿か」
「はい」
 信長の前に出て来て話してきた。
「飯もまた必要かと存じますが」
「ははは、それは無理だ」
 信長は木下の今の言葉には顔を崩して笑った。そのうえでの言葉だった。
「流石に今飯は無理よ」
「さすればです」
 木下はさらに言う。その言葉は。
「清洲に着いた時にです」
「その時にというのか」ビトン
「はい、そこにいる商人達に命じておいて飯を用意しておきましょう」
「ということはだ」
「はい、清洲に着けばすぐに飯を食えるように手配してはどうでしょうか」
 これが彼の提案であった。
「どうでしょうか、それは」
「ふむ、そうだな」
 それを聞いてだ。信長は頭の中で計算した。自分の考える速さで向かえばどれだけで尾張に着くのかをだ。それを頭の中で計ってから答えた。
「では今より早馬を出してだ」
「その陣の場所に飯を用意させましょう」
「わかった。ではそうするとしよう」
 信長は木下の言葉を受けた。そのうえでだった。
 周りにいる者達を目で見回してだ。こう告げたのであった。
「では今より一人向かえ」
「そうして手配をですね」
「そうよ。よいな」
「はっ、それでは」
 早速小姓の一人が向かった。話がまた一つ動いた。
 信長は命じた後でだ。あらためて木下を見てだ。こう言うのであった。
「猿、そなたどうやら中々頭が回るようだな」
「いえ、それがしはその様な」
「このことは覚えておく」
 信長は謙遜する彼に対してまた告げた。
「よくな」
「有り難きお言葉」
「しかし。飯のことはわしも考えておらんかった」
 実はだ。彼もそこまではなのだった。
「とりあえず清洲に着いてそこから攻めようと思っていたのだがな」
「わしはもう真っ先に敵を脅すつもりでしたが」
 河尻が言ってきた。
「いや、まことに」
「鎮吉が普通じゃろうな、それは」
 信長はここでは河尻がそれだと述べるのだった。
「しかし。その前に飯を食っておくと確かによいな」
「力が出ます」
 今言ったのは坂井である。
「それだけで随分と」
「腹が減っては戦ができぬ」
 信長はここでこの言葉を口にした。
「まことにそうよね」
「では。清洲に着きましたら」
「すぐに飯を食いですな」
「そのうえで」
「仕掛けるとしよう。よいな」
 信長は最後にこう言ってであった。水を飲んだ。
 それは家臣達も足軽達もだった。そうして。
 信長は立ち上がった。一同を見回してから告げる。
「ではだ」
「はい」
「今より」
「全軍反転せよ」
 こう命じたのであった。
「そして清洲に戻るぞ。大返しよ」
 彼等はすぐに清洲に戻る。そうしてであった。また一つ困難を乗り越えるのであった。


第二十話   完


                2010・12・22

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第十四話 美濃の蝮その六

「本当にか」
「見ての通りじゃが」
「それが信じられんのじゃ」
 蜂須賀の驚いた顔はだ。そのまま変わらなかった。口調もだ。
 それでだ。彼はこうも言うのだった。
「全くのう」
「そこまで言うか」
「言うわ。何という速さじゃ」
 まずはその仕事の速さから話す。
「そしてどれも見事にできておるのう」
「うむ、よいことじゃ」
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「ただ組に分けて場所を決めて報酬を弾んだだけなのにか」
 だが、だった。蜂須賀はここで気付いたのだった。
「いや、待て」
「どうしたのじゃ?」
「それだけでも凄いことじゃな」
 この事に気付いた彼だった。それでまた言うのだった。
「その三つのどれも。わしにはじゃ」
「どうだというのじゃ?」
「思いもつかんことじゃ」
 腕を組んでだ。そうしての言葉だった。
「いや、全くじゃ」
「まあわしも少し考えてみた」
 木下はその人懐っこいを笑みを蜂須賀にも見せた。蜂須賀もその笑顔にだ。妙に惹かれるものを感じていた。
 それを感じながらだ。彼の話を聞くのであった。
「それでやってみたのじゃ」
「試しにか」
「左様、しかし上手くいったな」
「そうじゃな、しかしじゃ」
「しかし?」
「これはこれからもやっていくか」
 こう言う木下だった。
「それではのう」
「わしもやっていいか?」
 蜂須賀はここで木下に言ってきた。
「わしも。よいか?」
「わしの今のやり方をか」
「そうじゃ。やってよいか」
「こんなものやるなと言っても止められるものではあるまい」
 これが木下の返事だった。
「違うか?」
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「やり方だけだからのう。まあそれで織田家がよくなればそれでよい」
「御主の手柄でなくなってもか」
「手柄は人に譲って汗も人の為にかく」
 ここでこんなことも言う木下だった。
「それでどうじゃ」
「一見御主が損をするように見えるがじゃ」
 蜂須賀も馬鹿ではない。そうしたことをすればどうなるかはだ。彼にもわかる。それでこう木下に対して言うのであった。
「御主の得になるのう、それだと」
「ははは、そうなのか」
「いや、御主それをわかっておるだろう」
「それは答えぬ」
 木下の笑みは今度は思わせぶりなものだった。その笑みでの言葉だった。
「答えても皆真似するじゃろ」
「まあそうじゃな」
 実際蓮かもそのつもりである。だから今こう言ってみせたのだ。
「それはな」
「では答えぬ。それこそただでやるぞ」
「そうするのじゃな」
「まあそういうことじゃ。それではじゃ」
「うむ。それではじゃな」
「仕事が終わったことを殿に申し上げてだ」
 これは必ずしなければならないことだった。さもなければ終わったことにはならない。木下達の間でもこれは常識の話しであった。

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